実社会という世界を,根本から変える。社会様式を,社会思想を,今,IPの名の下に。
ブロードバンド環境が普及すれば,現在の競争的排除的知的所有物の基礎は完全に消え去る。グーテンベルクの印刷革命と同様に,私たちは,コンテンツの配付は基本的に無料で,同時にコンテンツの作成に対しては対価を支払わねばならない,そんな新しい世界に足を踏み込もうとしている。だが,音楽業界はいまだに,音楽を盗むのは自動車を盗むのと同じだと馬鹿げた発言を繰り返している。ナップスターだけはやっつけたと彼らは乾杯するかもしれないが,その後の音楽業界の売手寡占崩壊に涙を流す人は多くないだろう。
何度でも同じ話をするが,音楽は情報である。情報は常に入手可能であるべきだ(無料であるべきだ)。対価は支払うが,情報自体はネットワークで何ギガであろうと,手を伸ばせば,容易く手に入るものでなければならない。取り上げる価値もないが,米国で始まったという音楽業界の楽曲配信サービスには,最初から価値などない(ZDNet Newsの記事)。次の世界は,最初からそのようなものを否定したところから始まる。
そしてこれは,出版社や新聞社とて同様だ。手書きで本を写していたときとでは,グーテンベルグの印刷革命で,根本的に社会は変わった。誰もが聖書を手にすることができ,一部の人たちの特権が失われた。今,私たちは同様の革命の最中にいる。「痛み」は,音楽業界や出版業界の,溜まった膿を,出すことだけで完了する。世界を革命する力を,IPの名の下に。
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